WINCARS KURUMAYA KOZO
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自転車のこと
日本でいちばん自転車の走っている都会はじつは広島かもしれません。
ヨーロッパでいちばん自転車の目立つ町はオランダのアムステルダムですが、広島と共通点も多い。
アムステルダムは実質オランダの首都ですが(正式にはデン・ハーグが首都)町の規模が広島と同じくらいで
運河と市電が縦横に走るのも似ていて(広島は川ですが)、ひらべったく坂のない市街地も同じです。
東京の人は都心で自転車をあまり使いません。大阪も京都も西日本の人が市街地で自転車を気軽に使うのに比べ
東日本の人はあまり使わない。なぜだろうと考えて思い当たることがありました。
日本で自転車といえば一万円くらいで買える実用車ですが
市街地で乗ろうとすると歩道を走らないといけなかったり、どこを走ってよいか分からなかったり
歩行者とのからみや、ちょっと駐輪したいときにどうするかなどけっこう面倒なことが多い。
広島の人も関西の人もそれを面倒に思わず自然に乗るが、東日本の人は周囲との絡みがへた。
自動車も広島なら仮に停電で交差点の信号が消えても互いを読み合い自然に流れますが
東京では必ず渋滞になるのと同じです。
そんな東京の人が、「自転車を始めた」などと表現するのでエッ? と思うが
何十万もするスポーツ車を買ったという意味。自転車用の衣服も買い、力が入るんですね。
ぼくも自転車は嫌いではないが、ぼくにとってはたかが自転車です。
広島の街中に住んでいたときは市内の用は自転車でした。
中高のころはドロップハンドル(古い表現ですが)のスポーツ車で百キロの距離は平気で走ったもので
今もスポーツ車は持っています。
郊外の高台に引越ししてから坂が多いので乗らなくなりましたが。
世界中の多くの国で最近まで自転車といえばスポーツ車のことで
実用自転車が身近な国は中国と日本とオランダ、北欧くらいと言うと驚かれるかもしれません。
中国に自転車のイメージがあるのはつい最近まで交通インフラが未整備で
かといって市民はバイクも車も持つこともできなかったからです。
自転車と徒歩だけが移動手段と言う時代がかなり続きました。
東京なみ大都会の上海は二十年前まで庶民は自転車さえ乗れる人は少なく
公共交通はたまにしか来なくて満員で乗れないバスだけでしたからほとんどの人が延々歩いていたものです。
今も中国の地方の田舎に行けば天秤棒に荷物を担いで十キロや二十キロ歩く農民はふつうに居ます。
日本人は意外に思うでしょうが、多くの国では自転車を貧しいものだと考えて避けていたのです。
オートバイでさえ欧米ではヤクザなものだと考える風潮があった。
日本やオランダ、北欧でママチャリが普及したのは階級意識の薄い社会だったから。
ヨーロッパの多くの国で貧民と思われたくない市民はママチャリに乗ろうとも思わなかったんですね。
学者や学生など知識層の人は案外に平気で乗りましたが。
ヨーロッパで自転車に偏見のなくなったのはさいきんです。
階級意識の強い韓国では今も自転車も原付もあまり見かけません。
しかしエコロジーで市民意識のひっくり返っているヨーロッパでは今は自転車の見直しが凄い。
広島も最近「乗りんサイクル」という共同で乗る
自転車のシステムが始まっていますが(契約数が増えず困っているようですが)
ヨーロッパの方々でその試みがあり、パリでは「ヴェリブ」という名で普及している。
ヴェリブ専用の独特のデザインの自転車が開発され、パリだけで数万台が使われているらしい。
これは「自動車は使わない」というキャンペーンなのです。
地下鉄があるじゃないかと言うかもしれませんが、パリでは治安の問題もあり地下鉄を避ける人は多い。
地下鉄に一等車のあった時代はともかく、さいきんは自動車移動が多かったんですね。
ヴェリブを使えば道路の状況しだいではパリ市内なら車より速く(駐車も大変ですから)
ヴェリブなら人に見られても恥ずかしくない。
以前から気軽に自転車を便利に使っていた日本人は意外に進んでいたんです。
これから自転車と自動車が都会でどうやって共棲してゆくかは市電(トラム)と自動車の共棲関係にも似ていて
単純に法律や政策だけで決められるようなことでもない絡み合いの模索と言うことですね。
男女関係と似たようなシステムかもしれません。