WINCARS KURUMAYA KOZO
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街を歩いていて上から落ちてきたもので怪我したり死ぬ人も居る。
当たる当たらないは0コンマ数秒差なので「運が悪かった」と言ってもやむをえない。
名は忘れたがナントカの法則と言うのがあり、危機一髪が何百回かあってじっさいに事故が起きるのは一回らしい。
先日ぼくは住宅団地の静かな道路を車で走っていて、前方を男の子がいきなり飛び出しぼくの数メートル先を
脱兎のごとく横断したので驚いたというよりキツネにつままれた気がした。
鬼ごっこでもしていたのかもしれないが、中央線のある道路で四十キロくらいで走っていたので
こどもの飛び出しが一秒遅くタイミングが合っていればぶつかっていたかもしれない。
ぼくには不注意もなく事故が起きても防ぎようのないものでしたが
それでも事故ればぼくの責任も何割か問われ、子どもが怪我したり死亡すればすごく面倒なことになったはず。
タッチの差で人生変わるようなことはときおりあります。
十年くらい前だったか、福岡の海上橋の上に止まったRV車に飲酒運転の車がぶつかり
RV車が海に落ちて幼い子が二人だったか三人だったか死亡した事故があった。
ただそれだけの事故なのに(!)連日テレビで派手に報道され続け
加害者の男が徹底的にバッシングされていたのをぼくは異様な感じで見たのを思い出します。
もちろん飲酒運転は悪い。悪いけれどそのころ福岡に飲酒運転していた人は百人や千人は居たでしょうし
その事故も飲酒との因果関係は証明されないはず。
事故の本質は駐停車禁止のはずの橋の上に止まっていたRV車に接触しただけではとぼくは思った。
そのときぼくがいちばん不審に思ったのはどうしてRV車は橋の欄干を破り海に落ちたのかということでした。
事故の目撃者がインタビューで証言していた。
「止まっていた車の後ろの角にぶつかりその勢いでRV車がゆっくり歩道に乗り上げたんです。
そのまま欄干にぶつかってそこで止まると思ったら欄干が壊れて落ちたのでびっくりしました」
これは重大な証言ですよ。RV車が橋の欄干を乗り越えたわけでも、ものすごい勢いで突破したわけでもない。
RV車がゆっくりと歩道に乗り上げたというのは本当だと思います。
その車を欄干が止めれば乗っていた人は怪我さえしていなかったはずで
そうであれば加害者は飲酒運転で免許取り消しくらいのはずだった。
つまりぼくはこの事故の本質は欄干の設計の不備にあったと思ったんです。
しかしメディアはそのことに触れず、ひたすら魔女狩りのように男を責めて飲酒運転防止のキャンペーンを叫ぶだけでした。
子を死なせた若いパパとママのほうは悲劇のヒーローのような扱いでしたね。
愛する子を失ったことに同情はしますけれど。
加害者の男は飲酒運転で死亡事故を起こして(死なせたのは橋の欄干だったとぼくは思っていますが)
刑務所送り五年だったか十年だったか。
日本は民主的な国だと思っていますが案外に不条理の多い社会だと思ってもいます。
車に乗っていると日本の不条理を感じることは多いですね。低すぎる速度制限
わけのわからない信号や規制の仕組みなど。日本在住の外国人の間でよく話題になる。
警察の利権がからんでいるからかもしれません。
そんな交通環境でぼくは何十年と車の運転をしてきて、事故がないよう
違反でつかまることのないよう気合を入れて運転してきました。
日本に特異なこのような状況はなぜかメディアで話題になることもなく
ぼく以外の七千万のドライバーはどうしているのか気になるときもあります。
ゴールド免許の人も多いが、どうして違反がないのかぼくには不思議なんです。
どんなに注意していても「不運」が重なり違反になってしまうことがあるから。
何年か前、姫路市内の交差点をまっすぐ行くか右折かで迷い赤信号になって急停止しました。
そこで右折の指示器を出したら向かいにパトカーが赤信号で止まった。
いやな予感がしたものですからひょっとしてここは右折禁止だったかとあたりを見回し
大丈夫と確かめてそのまま右折してゆくと、パトカーが赤ランプをつけてぼくを止めました。
右折禁止だという。そんな標識はなかったというと、あると言う。
ぼくが止まった位置の横にただ一本立っていたんです。
ぼくがすこし前に出すぎて横にある標識が見えなかった。その前に見落としたのが悪いといえばそうですが
地理不案内の地ではただ一本の標識を見落とすことくらいあります。
交差点の反対側だとか、見えやすいところになぜないのか。
もっとおかしいのは赤信号で止まっている時点でウインカーを出しているぼくに
なぜパトカーが警告しなかったかと言うことです。事故防止のためにもそのほうが理に合う。
それを警官に言うと、警官は始終穏やかな口調で「広島から来て初めての道路だったんですね」などと
同情的な言い振りでしたから、なーんだ見逃してくれるのかと思ったら、ちゃんと切符切られました。
数年に一度、違反で捕まるのですが防ぎようのない「不運」の重なりでそれは起きます。
このごろはぼくもおとなしい運転で、高速道路も八十キロ制限のところは百キロ、百キロ制限は百二十キロでしか走りません。
それでも二十キロオーバーじゃないかと言われるかもしれないが、日本の高速道路の制限は無意味と思っていますから。
その証拠に広島空港リムジンバスなどの路線バスも広島と空港間の八十キロ制限(どうしてそんな制限なのか不明!)を
百キロで走っている。空港、広島駅間を四十数分で走るダイヤですが制限どおりに走ってはそのダイヤは成立しない。
ここだけの話、そういうわけでオーバー二十キロならつかまる心配もない(それも不条理ですが)。
この一文を書くきっかけになったことを書きます。先日ノンと下関の長府に行こうと自動車道を走っていて
八十キロ制限を百キロで流していました。山口県の仏峠トンネルを抜けると長い下り坂です。
廿日市インターからそこまで百キロあまり、その間になんと五、六か所も工事の一車線規制があって(それも異様ですが)
そのたびにトロトロ走行でしたから気持ちのゆとりを失っていたという条件が一つ
(心理学ではこうした「条件」のことをコンディションと言います)。
長い坂の途中にある美東サービスエリアでトイレ休憩するつもりでしたが
ノンに言うと「寄らないでいい」と言うので、ぼくはオシッコしたいし寄ろうかやめようかと迷ったのがもうひとつの条件。
高速道路のシトロエンC5は百三十キロくらいまではほぼ無音の走行で速度の変化に気づかないという条件などなど。
けっきょく寄らないことにしサービスエリアの入り口を過ぎて、ふとバックミラーを見ると
いつの間にか後ろに赤灯のパトカーが居たんです! そのとき速度計を見たら百二十キロ出ていたのでゾッとしました。
トンネルまでは上り坂でアクセルを踏んでいたので、そのままの調子でトンネルを流し
下り坂でいつの間にかその速度が出ていたんですね。
バックミラーと速度計は始終チェックするのにそのときだけノンとの絡みやサービスエリアの件で見ていなかったんです。
そしてそのときたまたまパトカーが居たと言う「不運」。
予定通りサービスエリアに入っていればつかまることはなかったのにという「不運」も。
こんなことで一発免停講習かと、「くだらない」イメージが湧きました。
パトカーの中で警官は「なんという車ですか」などと雑談なども交え和やかで
ぼくが正直に「不運」を言うと警官も捕まえなくてもよい車を捕まえてしまったというムードでしたが
もちろん切符は切ります。四十キロオーバーかと思ったら三十七キロで三点でした。
罰金は三万五千円です。警官も「高額で申し訳ないが」と言って支払い表をくれました。
ぼくがこんなときに考えることは事故に比べればこれくらいで済んでマシということです。
三万五千円は車が故障したと思えば。
でも、こんな日本で日々運転しているので、たまに海外でレンタカーを乗り回すと
それがどんな車でもなんとも言えない解放感がある。そのためだけにときおり海外に出かけてもいいかもしれない。
韓国でレンタカーに乗ると人に言うと「危なくないですか」と言われるがそんなことはありません。
みんな運転がうまく流れがスムーズだし、交通規制も欧米並みに合理的できちんとしていますから。