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Konaさんくるまよもやま話

 

 9. エンブレム

 ひところCIという言葉が流行りました。コーポレイティッドアイデンティティですね。
車のメーカーで言えばメルセデスにはメルセデスの、ボルボにはボルボの
シトロエンにはシトロエンの強烈なイメージがあって、それを表現するようにどのメーカーもエンブレムを大事にしていました。
日本には日本の家紋と言う世界的に優れた伝統のエンブレムがあるのに
日本の自動車メーカーがエンブレムを採用していないのがわたしには不満でした。
今では日本車もエンブレムを持っているので欧州メーカーの真似とはいえ幸いです。

欧州車のエンブレムには日本の家紋型とヨーロッパの家紋型があると思う。
前者の代表はメルセデスの三ツ星で、BMW、ワーゲン、アウディ、シトロエンなど
どのエンブレムを取っても優れている。

後者の代表はアルファ・ロメオの十字に龍が人を飲み込むあれです。
この系統のエンブレムではポルシェやフィアット、ランボルギーニ、マゼラッティ、ロータス、キャディラックなど
これもみな優れたデザインです。

メルセデスの三ツ星はこれ以上シンプルにはできないというくらい簡単なデザインなのに
存在感とバランスが有って完璧と言う稀有なものです。線の細さなどが絶妙です。

ワーゲンのVとWも完璧。
アルファのエンブレムもいかにもブランドと言う美しさが素晴らしい。
龍は十字軍で飲み込まれるのはイスラム教徒ですから
いまどきイスラム過激派の標的にならないか心配になるくらいですが
ミラノヴィスコンティ家の家紋から取ったデザインにはストーリー性がある。

欧州車のエンブレムはどれも大人のデザインですから首をかしげるようなものはない。
世界企業の自動車ですから当たり前。

にもかかわらず日本車にはちょっと残念なものがあると思う。
トヨタのエンブレムはトヨタらしく誰が見てもバレバレの分かりやすさです。
地球とTの字を表しているんでしょう。
万人向けだから凝らなくてもこれでいいんだよと言いたげなのは確信犯でしょう。
レとLを表しているように見えるレクサスも同罪ですね。
トヨタは「車はエンブレムで売るもんじゃない」と言いたげです。

マツダはむかしの家紋の「くぎ抜き」のようなわけの分からないエンブレムを採用していた時代がありますが
その反省からか今はわかりやすいデザイン。
トヨタのよりはヒンがあるのですが、なにが哀しゅうて存在感のない薄いデザインを採用しているのかと言うエンブレムです。
このデザインにいったいどれだけお金をかけたのかと問いたくなります。
Mと飛ぶ鳥を表現しているのでしょうが、これにこだわるなら細部をもっと煮詰められないのかと思う。

昔、マツダは というエンブレムを使っていました。
今風に徹底的にリファインさせればメルセデスの三ツ星に匹敵するのにとわたしなどは考えてしまう。
mはうまくデザインすれば永遠に続くワインディングロードにも見えますしね。

昔のエンブレムを復興させたのはニッサンで、ハンバーガー型のあれです。
日産の「日」からデザインしたのですが、今はリファインしすぎで「日」の面影がない。
でもシンプルで存在感もあって、決してグッドデザインではないのに車のエンブレムとしては合格です。

日本車で唯一早くからCIとエンブレムに固執していたのはホンダで
ですからHの字も一貫して変えていないですし、シンプルですが煮詰めて優れたデザインになっている。
ストーリー性がないこと、Hですが色気がないのだけが問題です。

トヨタは日本最初の自動車メーカーと言ってよく、日産も戦前、朝鮮半島と旧満州に工場を持っていた。
三菱と富士重工は戦闘機を作りマツダも軍用車を作っていました。
それからするとホンダは戦後原動機付自転車から出発した四輪メーカーとしては最後発ですから
それで日本二位のメーカーにまでなった力はたいしたものですが、どこか背伸びしすぎもあるのかもしれません。

三菱マークはエンブレムとして優れているのにどうして使わないのかと、かつて思っていましたが
今では堂々と押し出して欧米人にいちばんインパクトのある日本車のエンブレムです。
彼らにはいまだにミツビシゼロ(零戦)のイメージが強烈ですし、ミツビシの発音が日本的なのも魅力なんですね。

日本車のエンブレムで抜けていると思うのはヤマハのバイクの音叉のエンブレム。
車と関係のない音楽の道具をデザインしていることでストーリー性もあり
ヤマハはこれを冠した二座スポーツカーくらい走らせたらと思う。
ほんらいがピアノのメーカーがスポーツカーを作るのはステキで、トヨタの傘下にあって不可能ではないはず。

エンブレムで哀しいのはダイハツでしょうか。あの尖ったDの字
レトロといえば言えなくもないが、プロの会社にデザインさせたのかというくらいのデザインで
それを堂々と掲げるダイハツもどうなのかと思う。

それに比べるとライバルのスズキはこれも単純なSの字なのに力強さもあって悪くない。
韓国のヒュンダイは欧米メーカーのコンセプトとデザインに憧れが強い会社なのに
ホンダのエンブレムを崩したようなHはなぜかダイハツ並みデザイン。

不思議なもので車の鼻先に付くエンブレムにそのメーカーの素(す)のようなものが現われていると思う。


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